Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「弦之丞様ッ……弦之丞様ッ……」
と、呼びたてている様子。
「やッ? ……」――周馬は度を失った。おぼえのある女の声、そしてたしかに、弦之丞と呼んだ。ふたりはとッくに、龍耳老人の手にかかって、世に亡いものと信じていた旅川周馬。
水をかけられたように、ぎょッとして、元の貫之堂まで、夢中で駆け戻ってきた。
「はてな? ……」とそこで、
「お綱……どうもお綱のようだった。しかし、あいつや弦之丞が生きている理由はないのだが」
と、ジッと生唾をのんですくまっていると、境内を斜めに切って、疾風のように自分の方へ駈けてくるふたつの天蓋が闇をかすッて見える。
周馬はあわててまた逃げ出した。
庫裏の横から裏へ廻ると、そこには永い土塀があった。うしろを見ると、虚無僧ふたり、のがさじという勢いで追いかけてくる。
土塀のそばに一本の椋の木があった。
それへ跳びついて手をかけると、
「周馬ッ、周馬――ッ」
と後ろの者は、もうすぐそこまで飛びこんできた。
「あっ、法月!」
かれの体は栗鼠のように木の枝を回転して、その勢いで、土塀のミネへ片足を伸ばす。
パラパラッと青い椋の実と、そして、椋の葉の露がこぼれた。