Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

苔のついた石に紅葉の散っている時などはよい眺めでした。或建築家が、乾いた庭は息詰りがしてならぬ。水はつくばいの水だけでもよい。庭でそこばくの水を眺めるのは、お茶を飲むのと同じ気持がするといわれました。兄はよく草履ばきでその石の上に跼んで、そこらを見ていられました。明治二十九年の句に、「亡父を憶ふ」として、

俤やつくばひのぞく秋の水

というのがあります。

こんなことを思返している内に式は終ったのでしょう。あたりの人々のぞよめく気はいがし始めました。

弟

昭和十八年十二月十三日のことです。弟潤三郎から来た葉書に、「工合が悪いので医者へ行ったら、萎縮腎との診断です。とうとう父上、兄上と同じ病気に懸りました。いずれ跡を追うことになるでしょう」とありました。びっくりして他へ行くはずだったのを止めて尋ねましたら、家はひっそりとしています。あまり静かなので黙ってそっと上って襖を開けますと、潤三郎は机に倚ってこっちを見て笑っています。外に誰もいないので玄関の戸の開く音も聞えなかったのでしょう。「人をびっくりさせてはいけないよ」と、紙に書いて見せますと、「いや、それほど重くはないそうで、ただ長くかかるといわれたものだから」