Classici giapponesi con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate
大きな賽銭箱へおひねりを投入れてお辞儀をするのはお祖母様のまねです。気が附くと兄様が見えません。あたりを見廻しましたら、お籤の並びにあるおびんずるの前に立っていられました。いつか字引で見ましたら、それは賓頭盧と書くので、白頭長眉の相を有する羅漢とありましたが、大勢の人が撫でるので、ただつるつるとして目も鼻もない、無気味な木像です。それが不似合な涎懸をしているのは信者の仕業でしょう。
高い欄間に額が並び、大提灯の細長いのや丸いのや、それが幾つも下った下を通って裏の階段の方へ廻りましたら、「これから江崎へ行くのだ」とおっしゃいます。
「江崎へ?」
私が目を見張りますと、「そうだ、お前の写真を撮るのだ。」
私はびっくりして、口が開かれません。ただとぼとぼと附いて行きました。
幾分古びた西洋造の家の入口を入りますと、幸いに外に客はありませんかった。
「この子を写して遣ってくれ」とおっしゃいます。
「お兄様は」と聞きますと、「己は嫌だ。」
いつにないむつかしい顔をなさるのです。どうしようもありません。
そこらにある写真を見ている中に、助手らしい人が出て、光線の工合を見るのでしょう、高いところの幕を延ばしたり巻いたりします。