Classici giapponesi con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate
気味が悪いけれど、思切って硝子戸を少し開けて、手ランプを出して見ましたら、やっと分りました。それは大きな蝦蟇が窓の灯を慕って飛上り、体が重いのでまたしても地面に落る音なのでした。蹲ってこちらを見る目が光っています。翌日早速厚い窓掛を拵えました。その家は、私どもが引移った後には長岡半太郎氏が長く住んでいられました。
話が脇路へ反れました。兄は帰朝後、新調の車で毎日役所へ通われます。私は閑があれば兄を訪いました。私への土産は、駝鳥の羽を赤と黒とに染めたのを、幾本か細いブリキの筒へ入れたのです。御出発なさる時に『湖月抄』と本間の琴とを買っていただきましたから、「もう十分ですのに」とは申しましたが、若い時ですからやはり喜びました。その羽を覚つかない手附で帽子に綴じつけなどしました。
そうして九月もいつか二十日ほど過ぎた或日、独逸の婦人が兄の後を追って来て、築地の精養軒にいるという話を聞いた時は、どんなに驚いたでしょうか。婦人の名はエリスというのです。次兄がそのことを大学へ知らせに来たので、主人は授業が終るとすぐ様子を聞くために千住へ行ったという知らせがありました。