Classici giapponesi con furigana
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むぎわらぼうし
麦藁帽子
山本 周五郎
Leggi 麦藁帽子 (むぎわらぼうし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6888 caratteri · 14 schermate
――しかしきょうにも帰るだろうから。
慰めるように云って彼は女の熱い凝視からのがれるように外向いた、海は時化の余波で波が高く、凄いほど青黒く澄透った水の上を白い泡が縦横に騒ぎまわっている。
――まだその帽子を冠っていますね。
――いけなかったら……
――いいえいつまでもそうしていてください、勝手なことばかり云って、さぞあなたは怒っていらっしゃるでしょうけれど。
彼はそれには答えず、茫の葉を千切って噛んだ、女はそっと太息をしながら、しばらく男の横顔を見戍っていたが、やがて思切ったような調子で云った。
――いちどゆっくり会って、いろいろお話しなければならぬことがあるのです、近いうちにどこかで落合っていただけないでしょうか。
彼はそれにも答えなかった。口をひらけば何か恐ろしい言葉がとび出しそうなのだ、――女は眼で彼の返事を待っていたが、そのとき岬のほうから人の来る気配がしたので、
――二三日うちにあなたの家へ柿を届けさせます、そしたら神戸の森まで来てください、いつかふたりで会った樅の木のところで待っていますから。
そう云いすてると、彼女は素早く会釈をして立去った。