Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おうそんせんせいげんこうろく

黄村先生言行録

太宰 治

Leggi 黄村先生言行録 (おうそんせんせいげんこうろく) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.786 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

」ろくに見もせず、相槌を打つ。

「やっぱり梅は、紅梅よりもこんな白梅のほうがいいようですね。」

「いいものだ。」すたすた行き過ぎようとなさる。私は追いかけて、

「先生、花はおきらいですか。」

「たいへん好きだ。」

けれども、私は看破している。先生には、みじんも風流心が無いのである。公園を散歩しても、ただすたすた歩いて、梅にも柳にも振向かず、そうして時々、「美人だね。」などと、けしからぬ事を私に囁く。すれちがう女にだけは、ばかに目が早いのである。私は、にがにがしくてたまらない。

「美人じゃありませんよ。」

「そうかね、二八と見えたが。」

呆れるばかりである。

「疲れたね、休もうか。」

「そうですね。向うの茶店は、見はらしがよくていいだろうと思うんですけど。」

「同じ事だよ。近いほうがいい。」

一ばん近くの汚い茶店にのこのこはいって行って、腰をおろす。

「何か、たべたいね。」

「そうですね。甘酒かおしるこか。」

「何か、たべたいね。」

「さあ、ほかに何も、おいしいものなんて、ないでしょう?」

「親子どんぶりのようなものが、ないだろうか。」老人の癖に大食なのである。

私は赤面するばかりである。