Classici giapponesi con furigana
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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
Leggi 黄灯 (こうとう) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.262 caratteri · 21 schermate
「ああ、そうですね、大変ですね、殿様の病気は、ちと宜しい方でございますか」
「どうも、よくなくって困っているのだ」
主翁は歩きながら空を見た。ところどころ雨雲の切れた黎明の空に、微い星の光があった。主翁は何んと云っても黎明であると思って嬉しかった。
きつい坂をおりかけてから二人の話は止んだ。主翁は書生の右側を雁行して歩いていた。寺の門口にある赤松の幹に電燈の燈が依然として懸っていた。坂の上にいるときには、今にも夜が明けてしまいそうに見えていたが、下へおりてみると、真暗で黎明らしい趣きはなかった。主翁は不安になって来た。
「まだこんなに早いでしょうか」
白い学生の顔の半面が見えた。
「なに、すぐ夜が明けるよ」
石垣に沿うて電柱が恐ろしい形に見えていた。生垣の上の方を透すと、石碑の頭が一種の光を持って見えていた。主翁の心は暗くなった。彼は書生とぴったりならんで歩いた。
路の曲り角がそこに来た。主翁は恐ごわそこの電柱に眼をやった。黒ぐろと立った柱には何の怪しいこともなかった。それでも主翁は呼吸を詰めるようにしてその下を通って往った。
半町ばかり往くと桐島の邸が来た。