Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
「何をです?」
「それが黒死館の悪霊、テレーズの人形でした……背後から負さったような形で死体の下になり、短剣を握った算哲様の右手の上に両掌を重ねていたので……それで、衣服を通した出血が少なかったことから……儂は易介に命じて」
検事も熊城も、もう竦み上るような驚愕の色は現わさなかったけれども、すでに生存の世界にはないはずの不思議な力の所在が、一事象ごとに濃くなってゆくのを覚えた。しかし、法水は冷然と云い放った。
「これ以上はやむを得ません。僕もこの上進むことは不可能なんですから。博士の死体は既に泥のような無機物ですし、もう起訴を決定する理由と云えば、貴方の自白以外にないのですからね」
そう法水が云い終った時だった。その時経文歌の音が止んだかと思うと、突然思いもよらぬ美しい絃の音が耳膜を揺りはじめた。遠く幾つかの壁を隔てた彼方で、四つの絃楽器は、あるいは荘厳な全絃合奏となり、時としては囁く小川のように、第一提琴がサマリアの平和を唱ってゆくのだった。それを聴くと、熊城は腹立たしそうに云い放った。
「何だあれは、家族の一人が殺されたと云うのに」
「今日は、この館の設計者クロード・ディグスビイの忌斎日でして……」