Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate

Aozora Bunko

実際父は、僕に人間惨苦の記録を残させる――それだけのために、細々と生を保ってゆく術を教えてくれたのです」

「そうすると、それ以外のすべてを、四人の帰化入籍が奪ってしまったという訳ですか?」

「たぶんそうともなりましょうね」と旗太郎は妙に臆したような云い方をして、「いや、事実未だに、その理由が判然としておりません。なにしろ、グレーテさんはじめ四人の人達の意志が、それには少しも加わっていないのですからね。ところで、こういう女王アン時代の警句を御存じですか。陪審人が僧正の夕餐に与るためには、罪人が一人絞り殺される――って。だいたい、父という人物が、そういった僧正みたいな男なんです。魂の底までも、秘密と画策に包まれているんですから、たまりませんよ」

「ところが旗太郎さん、そこに、この館の病弊があるのですよ。いずれ除かれることでしょうが、だが貴方にしたところで、なにも博士の精神解剖図を、持っているという訳じゃありますまい」と相手の妄信を窘めるように云ってから、法水は再び事務的な質問を放った。

「ところで、入籍の事を、博士から聴かれたのは何日頃です?」

「それが、自殺する二週間ほど前でした。