Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
さて、三つの開閉器が捻られて、この一帯が暗黒になると、その時、何故に、テレーズの像が現われなければならなかったのでしょう」
そこで法水はちょっと一息入れて莨に火を点けたが、再びこつこつ歩き廻りながら云いはじめた。
「それが、破邪顕正の眼なのです。たぶん、算哲博士は世界的の蒐集品を保護するために、文字盤を鉄函の中に入れただけでは不安だったのでしょう。それがために、こういうすこぶる芝居げたっぷりな装置を、秘そり設けて置いたのですよ。何故なら、考えてみて下さい。いま点滅した三つの灯は、いつも点け放しなんですからね。ですから、仮りにこの室に侵入しようとするものがあれば、自分の姿を認められないために、まず手近にある三つの開閉器を捻り、この辺り一帯を暗黒にしなければならないでしょう。その上で鉄柵扉を開いたとすると、それまで頭上の灯で妨げられていたものが、突然漆扉の上に不気味な姿となって輝き出すでしょう。しかし、背後の『腑分図』は、その位置から見ただけだと、徒らに色彩が分裂しているのみであって、しかも眩ゆいばかりの、眩耀で覆われているのですから、どこにその像の源があるのか判断がつかなくなって、結局仰天に価する妖怪現象となって残ってしまうのです。