Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate

Aozora Bunko

その日は何日目かの快晴だった。和やかな陽差が、壁面を飾っている「倫敦大火之図」の下方――ちょうどブリクストン附近に落ちていて、それがしだいにテムズを越えて、一面に黒煙の漲る、キングスクロスの方へ這い上って行こうとしている。しかしそれに引き換え室内の空気は、打てば金属のように響くかと思われるほどに緊張しきっていたが、法水は何か成算のあるらしい面持で、ゆったりと眼を瞑じ黙想に耽りながらも、絶えず微笑を泛べ独算気な頷きを続けていた。やがて、熊城が無理に力味出したような声を出した。

「僕は真斎じゃないがね。虚妄の烽火には驚かんよ。あの無分別者の行動も、いよいよこれで終熄さ。だって考えて見給え。現在僕の部下は、あの四人の周囲を盾のように囲んでいる。けれども、その反面の意味が、同時に犯人の行動記録計の役も勤めていることになるんだぜ。ハハハハ法水君、なんという皮肉だろう。もしかしたら、犯人にも護衛を附けてないとも限らんのだからね」

検事は相変らず憂鬱な顔で、熊城の過信に反対の見解を述べた。

「どうして、あの四人をバラバラに離してみたところで、とうていこの惨劇は終りそうもないよ。