Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
その黒毛三枚鹿角立の兜を頂いた緋縅錣の鎧に、何の奇異があるのであろうか。検事はなかば呆れ顔に反問した。
「兜が取り換えられているんだ」と法水は事務的な口調で、「向う側にあるのは全部吊具足(宙吊りにしたもの)だが、二番目の鞣革胴の安鎧に載っているのは、錣を見れば判るだろう。あれは、位置の高い若武者が冠る獅子噛台星前立脇細鍬という兜なんだ。また、こっちの方は、黒毛の鹿角立という猛悪なものが、優雅な緋縅の上に載っている。ねえ支倉君、すべて不調和なものには、邪まな意志が潜んでいるとか云うぜ」と云ってから召使にこの事を確かめると、さすがに驚嘆の色を泛べて、
「ハイ、さようでございます。昨夕までは仰言ったとおりでございましたが」と躊躇せずに答えた。
それから、左右に幾つとなく並んでいる具足の間を通り抜けて、向うの廊下に出ると、そこは袋廊下の行き詰りになっていて、左は、本館の横手にある旋廻階段のテラスに出る扉。右へ数えて五つ目が現場の室だった。部厚な扉の両面には、古拙な野生的な構図で、耶蘇が佝僂を癒やしている聖画が浮彫になっていた。その一重の奥に、グレーテ・ダンネベルグが死体となって横たわっているのだった。