Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
法水にさえ、抑えようとしても果せない、妙に神経的な衝動が込み上げてくる。そして、全身を冷たい爪で、掻き上げられるような焦慮を、その時はどうすることも出来ないのであった。
伸子は年齢二十三、四であろうけれども、どちらかと云えば弾力的な肥り方で、顔と云い体躯の線と云い、その輪廓がフランドル派の女人を髣髴とさせる。けれども、その顔は日本人には稀らしいくらい細刻的な陰影に富んでいて、それが如実に彼女の内面的な深さを物語るように思われた。のみならず、最も印象的なのは、そのクリクリした葡萄の果みたいな双の瞳である。そこからは智的な熱情が、まるで羚羊のような敏しこさで迸出してくるのだけれども、それにはまた、彼女の精神世界の中にうずくまっているらしい、異様に病的な光もあった。総体として彼女には、黒死館人特有の、妙に暗い粘液質的なところはなかったのである。しかし、三日にわたって絶望と闘い凄惨な苦悩を続けたためか、伸子は見る影もなく憔悴している。すでに歩む気力も尽き果てたように思われ、その喘ぐような激しい呼吸が――鎖骨や咽喉の軟骨が急し気に上下しているのさえ、三人の座所から明瞭と見える。