Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
それより、ちょうどクリヴォフ様が、悲鳴をおあげになる一瞬ほど前のことでしたが、私はあの窓の側に、実は不思議なものがいるのを見たのですわ。それは、色のない透明ったものが光っているようでいて、そのくせどうも形体の明瞭としていない、まるで気体のようなものでした。ところが、その異様なものは、窓の上方の外気の中から現われて来て、それがふわふわ浮動しながら、斜めにあの窓の中へ入り込んで行くのでした。その一瞬後に、クリヴォフ様が裂くような悲鳴をおあげになりました」と伸子は、まざまざ恐怖の色を泛べて、法水の顔を窺うように見入るのだった。「最初私は、レヴェズ様があの際にいらっしゃったので、あるいは、驚駭噴泉の飛沫かなとも思いました。でも考えてみますと、だいたい微風さえもないのに、飛沫が流れるという気遣いはございませんわね」
「ふん、またお化か」と検事は顔を顰めて呟いたが、同時に唇の奥で、それとも伸子の虚言か――と附け加えたのは当然であろう。しかし、熊城はただならぬ決意を泛べて立ち上った。そして、厳然と伸子に云い渡したのだった。
「とにかく、この数日間の不眠苦悩はお察ししますが、しかし今夜からは、充分よく眠られるように計らいましょう。