Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate

Aozora Bunko

ですから、もし、ハートの王様という一言を、貴女の心臓が語るとおりに解釈して、算哲博士を右側に心臓を持った特異体質者だとすればです。あるいはそれが、支離散滅をきわめている不合理性の全部を、この機会に一掃してしまう曙光ともなり得ましょう」

この驚くべき推定は、かつての押鐘津多子を発掘したことに続いて、実に事件中二回目の大芝居だった。その超人的論理に魅了されて、検事も熊城も、痺れたような顔になり、容易に言葉さえ出ないのだった。勿論そこには、一つの懸念があった。けれども、続いて法水は例証を挙げて、それに薄気味悪い生気を吹き込むのだった。

「ところで、それがもし事実だとしたら、僕等はとうてい平静ではいられなくなってくるのです。何故なら、あの当時算哲博士は、左胸の左心室――それもほとんど端れに当る部分を刺し貫いていたのですが、あまりに自殺の状況が顕著だったために、その屍体に剖見を要求するまでには至らなかったのでした。そうなると第一の疑問は、左肺の下葉部を貫いたところで、それがはたして、即死に価するものかどうか――という事です。その証拠には、外科手術の比較的幼稚だった南亜戦争当時でさえも、後送距離の短い場合は、そのほとんど全部が快癒しているのですからね。