Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
ああたしか、あれはテレーズの人形が歩いているんだ……」
なるほど、検事の云うとおり、熊城が踏む重い靴音に交って、リリンリリンと幽かに顫えるような音が伝わってくる。無生物である人形の歩み――まさに、魂の底までも凍てつけるような驚愕だった。しかし、当然そうなると、人形の側にある何者かを想像しなくてはならない。そこで三人は、かつて覚えたことのない昂奮の絶頂にせり上げられてしまった。もはや躊躇する時機ではない――熊城が狂暴な風を起して、把手を引きちぎらんばかりに引いた時、その時なんと思ってか、法水が突如けたたましい爆笑を上げた。
「ハハハハ支倉君、実は君の云う海王星が、この壁の中にあるのだよ。だって、あの星は最初から既知数ではなかったのだからね。憶い出し給え、古代時計室にあった人形時計の扉に、いったい何という細刻が記されていたか。四百年の昔に、千々石清左衛門がフィリップ二世から拝領したという梯状琴は、その後所在を誰一人知る者がなかったのだよ。たぶんあの音は、截たれた絃が、震動で顫え鳴ったのだろう――。最初は、重い人形が隣室の壁際を歩んだ。そして、次は今の熊城君だ。