Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate

Aozora Bunko

「これですよ法水さん、やっとこれで、僕は自由になることが出来ました。実を云いますと僕は、どこかの隅に穴を掘って、その中へ怒鳴ろうかと思いましたよ。でも、考えてみると、もしそんなことをした日には、あの怖ろしいメフィストが、どうして容赦するものですか」

こうして、ついに法水との賭に、押鐘博士が勝った。しかし、内容を白紙と主張した法水の真意は、けっしてそうではなかったらしい。勿論その一言は、博士を抑えた得体の知れない、計謀には役立ったに相違ないが、恐らく内心では、黙示図の知れない半葉を喘ぎ求めていたのであろう。そして、空しくこの刮目された一幕を、終らねばならなかったに違いない。ところが、不思議なことには、勝ち誇ったはずの博士からは、依然神経的なものが去らずに、妙に怯々した不自然な声で云うのだった。

「これでやっと儂の責任が終りましたよ。しかし、蓋を明けても明けなくても、結論はすでに明白です。要するに問題は、均分率の増加にあるのですからな」

そこで、法水等は広間を去ることにした。彼は博士に対して、色々迷惑を掛けたことをしきりに詫びてから室を出たが、それから階上を通りすがりに、なんと思ってか、彼一人伸子の室に入っていった。