Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate

Aozora Bunko

入口には、いかにも前史的なヤニ羊歯が二基あって、その大きな垂葉を潜って凝固土の上に下りると、前面には、熱帯植物特有の――たっぷり樹液でも含んでいそうな青黒い葉が、重たそうに繁り冠さり合い、その葉陰の所々に、臙脂や藤紫の斑が点綴されていた。しかし、間もなく灯の中へ、ちょっと馬蓼に似た、見なれない形の葉が現われて、それを法水はヤポランジイだと云った。ところが、調査の結果は、はたして彼の云うがごとく、その茎には六個所ほど、最近に葉をもぎ取ったらしい疵跡が残されていた。すると、法水は眉間を狭めて、みるみるその顔に危惧の色が波打ってきた。

「ねえ、支倉君、六引く一は五だろう。その五には毒殺的効果があるのだよ。しかし、いまの伸子の場合には、六枚の葉全部が必要ではなかったのだ。つまり、十分〇・〇一くらいを含んでいる一枚だけで、あの程度の発汗と発音の不正確を起すことが出来るのだからね。すると、犯人がまだ握っているはずの五枚――。その残りに、僕は犯人の戦闘状態を見たような気がするのだよ」

「ああ、なんという怖ろしい奴だろう」と神経的な瞬きをして、熊城もこころもち顫えを帯びた声で云った。