Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
そして、上段の左右に二つ並んでいる、紋章の一つを、創紋の写真に合わせて電燈で透かし見ると、そのとたんに、思わず二人の口から呻きの声が洩れた。実に、その二つが、寸分の狂いもなく符合したからである。法水は、召使が持参した紅茶を、グイとあおってから云い出した。
「実際無比だ。犯人の智的創造たるや、実に驚くべきものなんだ。この書簡箋は、既に一年もまえ、現在のものに変えられたというのだからね。勿論それ以前に――あの乾板は、事件の蔭に隠れている、狂人染みたものを映して取っていたのだよ。何故なら、それには、押鐘博士の陳述を憶い出してもらいたいのだ。それでなくても、現在これでも見るとおりに、算哲は遺言書を認め終ると、その上に、古風な軍令状用の銅粉を撒いたのだった。ねえ熊城君、銅には、暗所で乾板に印像するという、自光性があるじゃないか。ああ、あの序幕――この恐怖悲劇の序文。さてこれから、その朗読をやることにするかな。あの夜算哲は、破り捨てた方の一枚を下にして、二枚の遺言書を金庫の抽斗に蔵めた――ところが、それ以前に犯人は、あらかじめその暗黒な底に乾板を敷いておいたのだ。