Classici giapponesi con furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate
蹄の上ること一尺、夕立は手綱を柳の樹に結えられて嘶いた。
「島野、おい、島野。」
この声を聞くごとに、実のこッた、紳士はぞッとする位で。
「へい、御用ですか。」
「お前、待合わせるものがあるッて、また別嬪じゃあねえか、花売のよ。」
「御串戯を、」と言ったが、内心抉られたように、ぎっくりして、穏ならず。
滝太郎は戯にいったばかり。そのまま茶屋の女を見返り、
「何ぞ食べるものをくれねえか、多い方が可いぜ。」
「姉さんおいしいものを、早く、冷たくして上げるが可い。」と、島野はてれ隠しに世辞をいった。
「はい、西瓜でも切りましょうか。心太、真桑、何を召あがります。」
「そんな水ッぽいもんじゃあねえや、べらぼうめ、そこいらに在る、有平だの、餡麺麭だの、駄菓子で結構だ。懐へ捻込んで行くんだから紙にでも包んでくんな。」と並べた箱の中に指しをする。
「どちらへいらっしゃいます。」
「石滝よ。」
驚いたのは茶店の女ばかりではない、島野も思わず顔を視める。
「兵粮だ、奥へ入って黒百合を取って来ようというんだから、日が暮れようも分らねえ。ひもじくなるとそいつを噛らあ、どうだ、お前、勇美さんに言いねえ、土産を持って行ってやるからッてよ。