Classici giapponesi con furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate
総曲輪へ芝居にでも誘われさっせえたか。はての、」
と目を遣ると、片蔭に洋服の長い姿、貧乏町の埃が懸るといったように、四辺を払って島野が彳む。南無三悪い奴と婆さんは察したから、
「何にせい、夜分出歩行くのは、若い人に良くないてや、留守の気を着けるのが面倒なではないけれども、大概なら止にさっしゃるが可かろうに。」
と目で知らせながら、さあらず言う。
「いえ、お召なんでございます。四十物町のお邸から、用があるッて、そう有仰るのでございますから。」
「四十物町のお花主というと、何、知事様のお邸だッけや。」
「お嬢様が急に、御用がおあんなさいますッて。」
「うんや、善くないてや。お前様が行く気でも、私が留めます。お嬢様の御用とって、お前、医者じゃあなし、駕籠屋じゃあなし、差迫った夜の用はありそうもない。大概の事は夜が明けてからする方が仕損じが無いものじゃ。若いものは、なおさら、女じゃでの、はて、月夜に歩いてさえ、美しい女の子は色が黒くなるという。」
「はい、ですけれども。」
「殊に闇じゃ、狼が後を跟けるでの、たって止めにさっせえよ。」と委細は飲込んだ上、そこらへ見当を付けたので、婆さんは聞えよがし。