Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate

Aozora Bunko

」

「何、遠慮することはないさ。」

これだもの。…………

「いいえ、」といったばかり。お雪は遁帰る機掛もなし、声を立てる数でもなし、理窟をいう分にも行かず、急にお腹が痛むでもない。手もつけられねば、ものも言われず。

径ややその半を過ぎて、総曲輪に近くなると、島野は莞爾かに見返って、

「どうだ、御飯でも食べて、それからその家へ行くとしようか。」

お雪はものもいい得ない。背後から大きな声で、

「奢れ奢れ、やあ、棄置かれん。」と無遠慮に喚いてぬいと出た、この野面を誰とかする。白薩摩の汚れた単衣、紺染の兵子帯、いが栗天窓、団栗目、ころころと肥えて丈の低きが、藁草履を穿ちたる、豈それ多磨太にあらざらんや。

島野は悪い処へ、という思入あり。

「おや、どちらへ。」

「ははあ、貴公と美人とが趣く処へどこへなと行くで。奢れ! 大分ほッついたで、夕飯の腹も、ちょうど北山とやらじゃわい。」

「いいえさ、どこへ行くんです。」と島野は生真面目になって押えようとする、と肩を揺って、

「知事が処じゃ。」

「今ッからね。」

「うむ、勇美子さんが来てくれいと言うものじゃでの。」

「へい、」と妙な顔をする。