Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
Leggi 黒蜥蜴 (くろとかげ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.633 caratteri · 215 schermate
「小さな鏡で、なんだけれど、一つうまく着がえをしてくれたまえ」
と言い残して階下へ降りて行った。葉子はいわれるままに着がえをすませたが、そうして高価な和服に包まれた気持は、決して不快なものではなかった。
「うまいうまい。それでいい。実によく似合ったぞ」
いつの間にか老紳士があがってきて、彼女のうしろ姿に見とれていた。
「でも、この着物にこの髪ではなんだか変ですわね」
葉子は鏡をのぞき込みながら、少しはにかんでいう。
「それも、ちゃんと用意がしてある。ほら、これだ。これをかぶってもらわなくてはならんのだ」
老人はそういって、さいぜんのトランクから、白布にくるんだものを取り出した。それをほどくと、中から無気味な髪の毛の塊まりが出てきた。それは上品な洋髪のカツラであった。
老人は葉子の前に廻って、上手にそのカツラをかぶせてくれた。鏡を見ると、おやっと思うほど顔が変っている。
「それからこれじゃ。少し度があるけれど、我慢してくれたまえ」
そういって老紳士がさし出したのは、縁なしの近眼鏡であった。葉子はそれをも、ひとことも反問しないで眼に当てた。
「さあ、もう時間がない。