Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
つづみくらべ
鼓くらべ
山本 周五郎
Leggi 鼓くらべ (つづみくらべ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8577 caratteri · 18 schermate
けれど……老人はいま重い病床にあるという、そして死ぬまえにいちど自分の鼓を聴きたいという、その二つのことがお留伊の心を動かした。
「いいわ、行ってあげましょう」
彼女は冷やかに云った。「……おまえあたしの鼓を持っておいで、それから家の者に知れてはいけないから静かにしてお呉れ」
手早く身支度をしたお留伊は、その娘に鼓を持たせて家を出た。松葉屋というのは宿はずれにある汚い木賃宿であった。老人はひと間だけ離れている裏の、狭い煤けた部屋に寝ていた。
「ようおいで下さいました」
老人は衰えた双眸に感動の色をあらわしながら、じっとお留伊の眼をめた。「……御城下へおいでになったとうかがいましたので、もう二度とお嬢さまのお鼓は聴けないものと諦めて居りました。……有難うございます。ようおいで下さいました」
お留伊はただ微笑で答えた。……自分の打つ鼓に、この老人がそんなにも大きなよろこびを感じている、そう思うとふしぎに、金沢で大師匠に褒められたよりも強い自信と、誇らしい気持が湧きあがって来た。
「いやお待ち下さいまし」
お留伊が鼓を取出そうとすると、老人は静かにそれを制しながら云った。