후리가나로 읽는 일본 고전
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あるげんそうきょくのじょ
ある幻想曲の序
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 ある幻想曲の序(あるげんそうきょくのじょ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 1,286자 · 3화면
二
二人の男が遠くはなれて向い合って立っている。二人が同時に右手を挙げたと思うと手のさきからぱっと白い煙が出る。するとその一人は柱を倒すようにうつむきに倒れる。夜明けの光が森の上に拡がって、露の草原に虫が鳴いている。
草原がいつともなく海に変る。果もない波の原を分けて行く船の舷側にもたれて一人の男が立っている。今太陽の没したばかりの水平線の彼方を眺めている。大きな涙の緒が頬を伝わって落ちる。夕映えを受けた帆の色が血のように赤い。
夕映えの雲の形が崩れて金髪の女が現われる。乱れた金髪を双の手に掻き乱して空を仰いだ顔には絶望の色がある。その上に青い星が輝いている。
炉の火が一時にくずれて、焔がぱったり消える。老人はさっきのままの姿勢でいつまでも炉の火を見つめている。
二
森の中に沼がある。大きな白樺が五、六本折れ重なって倒れたまま朽ちかかっている。朽木の香があたりに立ち籠めている。
遠くで角笛の音がする。やがて犬の吠声、駒の蹄の音が聞えて、それがだんだんに近付いて来る。汀の草の中から鳥が飛び立って樹立の闇へ消えて行く。
猟の群が現われる。赤い服、白い袴、黒い長靴の騎手の姿が樹の間を縫うて嵐のように通り過ぎる。