후리가나로 읽는 일본 고전
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
久生 十蘭의 うすゆき抄(うすゆきしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 30,454자 · 59화면
二人は舟のなかでは語りあわず、なにごともなく別れたのである。
「そこでさえ逢わなかったら、生涯、相引かず、思い臥ることもない二人だったのに」と松月尼が書いている。これは、一つは二人がそうした出逢いをした運命のことを、一つはとうていこの世では溶けあえぬ敵同士の身分のことをいっているのである。
この物語では、大炊介の父、関東一の乱破の大将、風摩小太郎が紀州貝塚の一揆に信長の手につき、里カマリ(大掠奪)で蘆屋道益の血族を焼き殺し、その風摩小太郎が、道益の子の道長に箱根の木賀の湯で討たれるあたりが、因果のはじまりのように見えるけれども、両家の過去の因縁はそんな底の浅いものではなかった。どちらも清和源氏の分流でありながら、四代、満仲のときから敵同士になり、五百年の間、それとも知らずに殺し殺される、因果な争いをくりかえしてきた業の深い間柄だったのである。
松月尼が説くのもそのことなので、そこは女だからあきらめが悪く、同族抗争の目もあてられぬ惨事を、七代まで遡って縷々懇切に述べている。そういう深い宿怨をたがいの血のなかにもった大炊介と行子の結びつきは、その後どんな風に運んでいたかというと、夏ごろ、ゆくりなく渡し舟に乗合わしただけの二人が、わずか一と月ほどののち、蟋蟀の声もおさない秋のはじめに、毎夜のように屋形の裏庭で忍び