후리가나로 읽는 일본 고전
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おせん
おせん
邦枝 完二
邦枝 完二의 おせん을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,074자 · 148화면
「――浜村屋、待ちや。わらわを置いて、そなたばかりがどこへ行く。――そりゃ聞こえぬぞ。わらわも一緒じゃ。そなたの行きやるところなら、地獄の極へなりと、いといはせぬ。連れて行きゃ。速う連れて行きゃ」
二十一で坂部壱岐守へ嫁いで八年目に戻って来た。既に三十の身ではあったが、十四五の頃から早くも本多小町と謳われたお蓮は、まだ漸く二十四五にしか見えず、いずれかといえば妖艶なかたちの、情熱に燃えた眼を据えて、夕闇の中を音もなく歩いてゆく様は、ぞッとする程凄かった。
八
いずこの大名旗本の屋敷に、如何なる騒ぎが持上っていようとも、それらのことは、まったく別の世界の出来事のように、菊之丞の家は、静かにしめやかであった。
座元をはじめ、あらゆる芝居道の人達はいうまでもなく、贔屓の人々、出入のたれかれと、百を越える人数は、仕切りなしに押し寄せて、さしも豪奢を誇る住居も所狭きまでの混雑を見ていたが、しかも菊之丞の冷たいむくろを安置した八畳の間には、妻女のおむらさえ入れないおせんがただ一人、首を垂れたまま、黙然と膝の上を見詰めていた。
ふと、おせんの固く結んだ唇から、低い、微かな声が漏れた。