일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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そのとし

その年

宮本 百合子

宮本 百合子의 その年(そのとし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,964자 · 28화면

아오조라 문고

「もう、あんな時間か?」

せっぱつまったような顔付をした。

「十時半の汽車に乗るなら、そろそろ出た方がいいかしれんな。折田がそれでも十二時すぎるで」

母親のその顔付から目をそらして腕時計の龍頭をまきながら源一が立ち上るにつれて、お茂登も包みをひきよせた。

「お前はどうする?」

源一は、すぐには答えず、口元をすこし引しめた表情で眼をしばたたくようにしていたが、やがて、

「送って行こう」

顎をもち上げて襟ホックをかけた。

門燈に照し出された下だけに杜若が鮮やかな色を見せている、その小橋の際まで送って出た細君に、お茂登はくれぐれも礼をのべ、自分のたべた弁当の代をおいてその家を出た。

ひっそりとしているようであったが、外へ出て見ればまだ宵の口で、幾組もの兵隊が砂利を鳴らして行き来している。母親と並んでいた源一も、やがて後から来かかった一かたまりと薄暗がりの裡で合流した。

やっと足元の見えるような暗いところを相当行った。つき当りの大通りの灯が見えて来て、ちょっとした広場のようになった角に、飾窓の明るい文房具屋とタバコ屋とを兼ねた店がある。折から一台がら空きのバスがその広場へ入って来て、方向転換をはじめた。