후리가나로 읽는 일본 고전
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면
手を伸して内から戸を明け、
「ここでいいなら。お下りなさい。」
「一円ここへ置きますよ。」と君江は五拾銭銀貨二枚を腰掛の上に投出して、戸口から降りようとするその片脚が、地につくかつかぬ瞬間を窺い、運転手は突然急速力で車を進めたので、君江はアッと一声。でんぐり返しを打って雨の中に投げ出された。
「ざまア見ろ。淫売め。」と冷罵した運転手の声も驟雨の音に打消され、車は忽ち行衛をくらましてしまった。
君江は気がついて泥の中に起直って、あたりを見ると、投出された場所は津の守阪下から阪町下の巡査派出所へ来る間の真暗な道だと思いの外、まるで方角のわからない屋敷町の塀外であった。自動車も通らなければ無論人影もない。足を曳摺りながら、石の門柱についている灯の下に歩み寄り、塀外へ枝を伸した椎の葉かげをせめての雨やどりに、君江はまず泥と雨とに濡れくずれた髪の毛を束ね直そうと、額を撫でながらその手を見ると、べったり血がついている。君江は顔の血に心づくと俄に胸がどきどき鳴出して、髪や着物にかまっている気力は失せ、声を出して救いを呼ぼうとしたのをわずかに我慢して、唯一心に医者か薬屋かを目当に雨の中を馳け出した。