후리가나로 읽는 일본 고전
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면
清岡は門人同様の村岡に命じて、君江が歌舞伎座へ見物に行った帰途、安全剃刀の刃で着物の袂を切らせた。尤もその衣類は清岡が買ってやったものである。暫くしてから清岡はこれも三越で自分が買ってやった真珠入の櫛を、一緒に自動車に乗った時、その降り際にそっと抜き取って見た。君江はきっと泣いて騒ぐだろうと思いの外、さして気にも留めないらしく、清岡にもまた間貸しのおばさんにも別にそんな話さえしない様子であった。
君江は極めてじだらくで、物の始末をしたことのない、不経済な女である代り、着物もそれほど着たがらない事は清岡も不断から心づいてはいたものの、かくまで無頓着だとは思っていなかった。そこで、留守の中に窃と猫の児の死骸を押入の中に投込んで様子を見たが、これさえさほど恐怖の種にはならなかったらしいので、遂に清岡はわるくすると感付かれるかも知れぬと危ぶみながら、君江が内股の黒子の事を、村岡にいい付けて『街巷新聞』に投書させたのであった。これは大分君江の心を不安にさせたらしいので、清岡は内心それ見ろと幾分か胸のすくような心地がした。しかし一度目が覚めた後、君江の生活を探偵して見るといよいよ腹の立つ事ばかりなので、報復の手段も唯一時の悪戯ではなかなか気がすまないようになる。