후리가나로 읽는 일본 고전
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면
五年前の進は勉学の志を擲たない真率な無名の文学者であったが、今日の進は何といってよいのやら。思想上の煩悶などは少しもないらしい様子で、その代り絶えず神経を鋭くして世間の流行に目を着け、営利にのみ汲々としているところは先相場師と興行師とを兼業したとでも言ったらよいかも知れない。新聞に連載しているその小説を見れば、今まで世にありふれた講談や伝奇を現代の口語に書替えたまでの事で、忌憚なく言えば少し読書好きの女の目にさえ、これでは殆読むには堪えまいと思われるくらいのものである。鶴子は進が去年の暮あたりから或婦人雑誌に連載し出した小説を見た時、ふと六樹園の『飛弾匠物語』の事を思出して、娘の時分源氏の講義を聞きに行った国学者の先生が、いつも口癖のように今の文士にくらべると江戸時代の作者がどれだけ優れているか知れないと言ったことなどを夢のように思返した事もあった。平生家へ出入する進の友人を見れば、言葉使いから様子合いまで、いずれも兄弟かと思われるほど能く似た人ばかりで、二、三人集まればすぐ洋酒を飲み、胡坐をかいたり寐そべったりして、喧嘩でもするような高調子。その談話は何かと聞けば、競馬の掛けごとに麻雀賭博、友人の悪評、出版屋の盛衰と原稿料の多寡、その他は女に関する卑猥極る話で持切っている。