후리가나로 읽는 일본 고전
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면
鶴子は既に幾たびとなく決心して、折があったら進の家を去ろうと思っていた。今更兄の家の厄介にはなれないので、その当時義絶の証として与えられた金がまだ半分位は銀行に預けてあるのをたよりに、間借りでもして、何処かの事務員にでも雇われようとまで、すっかり覚悟をきめて、それとなく最後の破綻の来る時を待っていたが、進の方からはまさか手切金の請求を恐れたわけでもあるまいが、そのままに何事も言出さず、表向きはどこまでも令夫人らしく冷に崇め奉っているので、月日のたつにつれて、さすがに女の方から突然別ればなしを持ち出す訳にも行かず、つい言出しそびれて今日に至った。それやこれやの思いに暮れて、鶴子はハンケチを口に銜えたまま台所の柱に身をよせかけ、葡萄棚に集る虻の羽音を聞いていた。
突然人の跫音がしたので、鶴子はびっくりして様子をつくろうとしたが、眼の縁に残った涙の痕と、憂いに沈んだ顔の色とは俄にどうする事もできない。
老人は鶴子が勝手へ行ったままいつまでも戻って来ないので、性の好くない行商人でも来たのではないかと、何気なく様子を窺いに来たのである。
「鶴子。心持でもわるいのじゃないか。