후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
やもりものがたり
やもり物語
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 やもり物語(やもりものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,340자 · 9화면
主婦はいつもこの雨のふるのにお風呂ですかと聞くが、自分は雨が降るから出掛けるのである。門を出ると傘をたたく雨の音も、高い足駄の踏み心地もよい。
下宿から風呂屋までは一町に足らぬ。鬱陶しいほど両側から梢の蔽い重なった暗闇阪を降り尽して、左に曲れば曙湯である。雨の日には浴客も少なく静かでよい。はいっているうちにもう燈がつく。疲労も不平も洗い流して蘇ったようになって帰る暗闇阪は漆のような闇である。阪の中程に街燈がただ一つ覚束ない光に辺りを照らしている。片側の大名邸の高い土堤の上に茂り重なる萩青芒の上から、芭蕉の広葉が大わらわに道へ差し出て、街燈の下まで垂れ下がり、風の夜は大きな黒い影が道一杯にゆれる。かなりに長いこの阪の凸凹道にただ一つの燈火とそのまわりの茂りのさまは、たださえ一種の強い印象を与えるのであるが、一層自分の心を引いたのはその街燈に止った一疋の小さいやもりであった。汚れ煤けたガラスに吸い付いたように細長いからだを弓形に曲げたまま身じろきもせぬ。気味悪く真白な腹を照らされてさながら水のような光の中に浮いている。銀の雨はこの前をかすめて芭蕉の背をたたく。