후리가나로 읽는 일본 고전
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アド・バルーン
アド・バルーン
織田 作之助
織田 作之助의 アド・バルーン을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 27,390자 · 53화면
その時、私には六十三銭しか持ち合せがなかったのです。
十銭白銅六つ一銭銅貨三つ。それだけを握って、大阪から東京まで線路伝いに歩いて行こうと思ったのでした。思えば正気の沙汰ではない。が、むこう見ずはもともと私にとっては生れつきの気性らしかったし、それに、大阪から東京まで何里あるかも判らぬその道も、文子に会いに行くのだと思えば遠い気もしなかった、……とはいうものの、せめて汽車賃の算段がついてからという考えも、もちろん泛ばぬこともなかった。が、やはりテクテクと歩いて行ったのは、金の工面に日の暮れるその足で、少しでも文子のいる東京へ近づきたいという気持にせきたてられたのと、一つには放浪への郷愁でした。
そう言えば、たしかに私の放浪は生れたとたんにもう始まっていました……。
生れた時のことはむろんおぼえはなかったが、何でも母親の胎内に八月しかいなかったらしい。いわゆる月足らずで、世間にありがちな生れだったけれど、よりによって生れる十月ほど前、落語家の父が九州巡業に出かけて、一月あまり家をあけていたことがあり、普通に日を繰ってみて、その留守中につくった子ではないかと、疑えば疑えぬこともない。