후리가나로 읽는 일본 고전
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シナーニしょてんのベンチ
シナーニ書店のベンチ
宮本 百合子
宮本 百合子의 シナーニ書店のベンチ(シナーニしょてんのベンチ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,387자 · 15화면
彼女は翻訳する気になった。最初の部分は、小石川の動力の響が近隣の小工場から響いて来る二階で。中頃の部分は、鎌倉の明月谷の夏。我々は胡瓜と豆腐ばかり食べて、夜になると仕事を始めた。彼女はそっちの部屋でチェホフを。私はこっちの部屋で自分の小説を。蛾が、深夜に向って開け放した我々の部屋から部屋へとんだ。最後の分は、駒沢の竹藪のある部屋で訳された。
すべて、人間が自分の内的生命を注ぎ出して書くものには必ずその人の調子と云うものがある。思想的傾向とか、主要観念とかいうものの他、その人の心理的なテンポ、硬度、音波がある。媒介物である文字さえ文法的に正確に捕えたら、その作物の全リズムまで捕えたとは決していえないと私は思う。特定の波長に対しては特定の検波器がある。電波に関するこの中学生的常識は、文学における原作者と翻訳者との関係にも極めて自然に適用される。すなわち、私はこれだけのことを云いたい。私は訳者を識っている。平常着のままでよろこんだり、むずかったり、癇癪を起したり、モスクワへきて、雪で滑ったりする彼女を知っている。そして、チェホフの、この一種特別な妻に与えた手紙を翻訳することにおいて、彼女がかなりな程度まで調和する自身の構造を持っていると。