일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

辻村 伊助의 スウィス日記(スウィスにっき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 216,275자 · 410화면

아오조라 문고

平な水をわたって、地平線上には霞のようにアルプ・マルティムが現われて来る。

日の強い南欧の平野をあとに、昨日はジュネーヴの風に吹かれて、透明な真夏の空に、サレーヴの新緑を旅宿の窓に眺めた時も、亦、その麓を囲む白亜の家と濃い碧藍を埋めたレマンの湖を見下しても、朝夕逢う友人に何の変りも認めないように、記憶のままなのを当然であると思っていた。

汽車はオーベルラントの高原を走って、窓を吹きぬける風は水のように冷い。新緑の丘と碧玉の水と、それを点接する白樺の梢に遠く、キラッと光るアルプスの主脈を瞥見した時、渦巻くようにこみ上げて来る感激に胸は一杯になった。磁石の鉄片を吸うように山は力強くこの心を引く、「我がこころ高原にあり」と歌った詩人の声を私は明らかにこの耳に聴いた。

自然に対するとき人は微細な鉄屑に過ぎぬ、腕は父らしく無心の児を抱いているが、天外の雪に吸いよせられるこの心をどうすることも出来ないのだ。私は手帳の片はしに

人も惜しされどいつしか妻を趁ふ眸は雪の山にむかへる

と書きつけて寂しく妻をかえりみた。

沿線の牧場に遊ぶ牛の群が子供達の興をひいた、然し父の耳には牛の鈴のほがらかな響さえ、かれの過ぎ去った日を葬る挽鐘のように悲しく響いた。