후리가나로 읽는 일본 고전
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
久生 十蘭의 ノンシャラン道中記(ノンシャランどうちゅうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,878자 · 26화면
五、寝起きはとかく不機嫌な巴里の冬空。
「コン吉よウ! これなんだかあててごらんなさアい!」
「芥箱の上なんかで遊んでいないで早く上がって来うい」
「なにいってんのよウ。これは自動車だぞオ!」
「誰れのだあ?」
「買ったのよウ!」
「金はどうしたア?」
「君の為替で買ったんだア」
そこでコン吉は、まだ充分健康を回復していないせいもあり、かたがた突然の偉大な衝撃にあってにわかに立場を失い、堂とばかりに床の上に尻餅をついた。
五、寝起きはとかく不機嫌な巴里の冬空。相も変らず霧のような氷雨は大気を濡らし、共同便所の瓦斯灯の舌もまだ蒼白く瞬いている朝の七時ごろ。近くの貨物停車場の構内から出て来た牛乳会社の大馬車が、角石畳みの舗道の上を轟落轟落とすさまじい音を立てて駆け過ぎたあとは、往来は急にひっそり閑。聴えるものは遠くの袋小路で触れる「古服や屑のお払い」声ばかり。
全身を毛布で包み、高からぬ鼻の先だけをつん出したコン吉が、その、夢のような金文字入りの自動車を一見するため、タヌに引っ立てられて歩道まで降りて来たが、その場には一向自動車らしいものもない。そこで、コン吉が、まだ夢の中なる寝ぼけ声で、
「自動車というのは一体どこにあるのかね? なにしろ、こう寒くてはかなわないから、見せるなら見せるで、早いとこやってもらいたい。