후리가나로 읽는 일본 고전
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マダムさだやっこ
マダム貞奴
長谷川 時雨
長谷川 時雨의 マダム貞奴(マダムさだやっこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,999자 · 53화면
けれどもそれはわたしが彼女の名に接しなかっただけで、彼女には新らしい生活の日の頁が、日ごとに繰りひらかれていった。そしてその五、六年の間に、川上の単身洋行が遂行された。それは生涯をあらたに蒔直そうとする目的をもった渡航であった。そのおり川上は、壮士俳優を止めてしまおうと思っていたとかいうことだったが、米国に渡ってから再考して見なければならないと思い、充分に考慮してのち、やっぱり最初自分の思立ったことは間違っていなかったと気がついた。それから直に帰朝した彼れは、もうすぐに演劇革進論者であった。時流より一足さきに踏出すものの困難を、つぶさに甞めなければならない運命を彼れは担ってかえってきたのだった。そして、当然、夫の、重い人生の負担に対して、奴のお貞も片荷を背負わなければならない運命であった。漸く平静であろうとした彼女の人生の行路が、その時から一段嶮しくなり、多岐多様になっていった分岐点が、その時であった。
川上音二郎の細君の名が、わたしたちの耳へまた伝わって来たころには、彼女は奔命に労れきっていたのだ。彼女は(最近引退興行のおりに、『演芸新聞』に自己の談話として載せたように)芸妓から足を洗って素人になるにしても、妾と呼ばれるのがいやで、どうか巡査でもよいから同情の厚い人の正妻になり、共稼ぎがして見たいと