일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

ja-reading.com

후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.

ひとりふたやく

一人二役

江戸川 乱歩

江戸川 乱歩의 一人二役(ひとりふたやく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,740자 · 14화면

아오조라 문고

に煩いの残る筈はない、とTは考えていた。

ところが、今彼の心は、最初は全然予想しなかった、極度の混乱に陥って了ったのだ。仮令、仮想の人物にもせよ、細君が彼以外の男を愛し始めたという、この恐しい事実が彼を撃った。始めは狂言であった嫉妬が、真剣なものに変って来た。若しこういう心持が嫉妬といえるならばだ。そこには相手がないのだ。一体全体、誰に向って嫉妬をするのだ。細君は決してT以外の男に肌身を許した訳ではない。つまり、彼の恋敵は、とりも直さず彼自身に外ならぬのだ。

さあ、そうなると、以前はさ程でもなかった細君が、この世に二人とないものに思われて来る。その細君を、他人に(正しく云えば自分自身にだが)奪われたかと思うと、くやしさは一通りではない。細君がぼんやり物思いに耽っている。アア、彼女は今、もう一人の男のことを思っているのだな。そう考えると、もうたまらない。Tは実に取返しのつかぬことをやって了ったのだ。彼は自分自身の仕掛けた罠にかかったのだ。

慌てて、仮装を中止して見たところで、今更ら何の甲斐もなかった。夫婦の間には、いつの間にか妙な隔意を生じていた。