후리가나로 읽는 일본 고전
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しがつばか
世相・競馬
織田 作之助
織田 作之助의 世相・競馬(しがつばか)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 19,112자 · 39화면
四月馬鹿
はしがき
武田さんのことを書く。
――というこの書出しは、実は武田さんの真似である。
武田さんは外地より帰って間もなく「弥生さん」という題の小説を書いた。その小説の書出しの一行を読んだ時私はどきんとした。
「弥生さんのことを書く」
という書出しであった。
その小説は、外地へ送られる船の中で知り合った人の奥さん(弥生さん)を、作者の武田さんが東京へ帰ってから訪ねて行くという話で、淡々とした筆致の中に弥生さんというひとの姿を鮮かに泛び上らせていた。話そのものは味が淡く、一見私小説風のものだが、私はふとこれは架空の話ではないかと思った。
武田さんが死んでしまった今日、もうその真偽をただすすべもないが、しかし、武田さんともあろう人が本当にあった話をそのまま淡い味の私小説にする筈がないと思った。「私」が出て来るけれど、作者自身の体験談ではあるまい。「雪の話」以後の武田さんの小説には、架空の話を扱って「私」が顔を出す、いわゆる私小説でない「私」小説が多かったのではあるまいか。武田さん自身言っていたように「リアリズムの果ての象徴の門に辿りついた」のが、これらの一見私小説風の淡い味の短篇ではなかったか。