후리가나로 읽는 일본 고전
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しがつばか
世相・競馬
織田 作之助
織田 作之助의 世相・競馬(しがつばか)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 19,112자 · 39화면
なぜもっと早く、いっそ明るいうちに帰って来ないのかと、骨がくずれるような後悔に足をさらわれてしまう。毛穴から火が吹きだすほどの熱、ぬらぬらしたリパード質に包まれた結核菌がアルコール漬の三月仔のような不気味な恰好で肝臓のなかに蠢いているだろう音、そういうものを感ずるだけではない。これから歩かねばならないアパートまで十町の夜更けの道のいやな暗さを想うと、足が進まないのである。カランカランという踏切の音を背中に聴きながら、寝しずまった住宅地を通り抜けると、もはや門燈のにぶい光もなく道はいきなりずり落ちたような暗さでそこに池がある。蛙が真っ暗な鳴声を立てている。池の左手には黒ぐろとした校舎がやもりのような背中を見せて立っている。柵がある。その柵と池の間の小径を行くのだが、二人並んで歩けぬくらい狭く、生い茂った雑草が夜露に濡れ、泥濘もあるので、草履はすぐべとべとになり、うっかり踏み外すと池の中へすべり落ちてしまう。暗い。摺り足で進まねばならなかった。いきなり足を蹴るものがある。見えないが、ひき蛙らしい。蛇もいそうだ。佐伯は張子のように首をだらんと突きだしたじじむさい恰好で視線を泳がせる。