후리가나로 읽는 일본 고전
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
宮本 百合子의 二つの庭(ふたつのにわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 195,492자 · 389화면
特に、多計代の感情の状態と、それについて、自分の感じることごとには口をつぐんだ。素子の専攻は外国文学であったけれども、現実の周囲で錯綜する男女の間のいきさつにたいして、素子はいつも一種辛辣な幻想のない態度をもっていた。素子のその皮肉や辛辣さが、伸子にとっては、佃との生活の沼からぬけ出る手がかりとなったのであった。しかし、娘として伸子は、多計代のこころもちには、素子のその調子で立ち入って欲しくない気持があった。伸子は、多計代の激情的な傾きに同感していないし、それを苦痛に感じているが、それかといって素子が聞いたらひとくちに冷笑するであろう、そういう風なものとしてだけ母の感情の波を見ているのでもないのであった。
「ぶこちゃん」
素子はれんじ窓のところへ腰かけて伸子をもじった愛称で呼びながら、注意ぶかく伸子を見た。
「動坂へゆくと、いつも暗い顔で帰るね」
「そうお」
「――まあ、どこでも親のうちなんてそんなもんだがね」
関西の古い都会の女学校を出ると、素子は女子大学に入学して、それ以来ずっと自分だけ東京暮しをつづけていた。魚問屋であり、資産家である吉見の主人は、素子とその兄妹とを生んで亡くなった妻の妹を、現在妻として暮していた。