후리가나로 읽는 일본 고전
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ごかいのまど
五階の窓
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 五階の窓(ごかいのまど)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,189자 · 21화면
それらの指先はとりすました西村社長とは別物の、不思議な生物の様に見えた。それでもまだ艶子が動かぬので、増長した指共は、懸念と安心と半々の足どりで、遂に艶子のえくぼの入った手先まで伸び、アッと思うまに、それを握り締めた。そして、不思議なことには、その時になっても、西村の目は天井を睨み、彼の口は手紙の文句を喋っていた。
「いけません」
艶子はやっと気づいた様に、低い叱責の声と共に、握られた手を引込めて、併しまだ逃げ出そうともせず、鉛筆を動かしていた。その調子が、妙に軟かく、隙だらけに見えた。
西村の痩せた顔が、変に赤らんで来た。彼はもう手紙の口述をしなくなった。そして、目は天井への虚勢を忘れ、少女のなめらかな首筋へ食い入っていた。
艶子は、背後に恐るべき抱擁の気配を感じたらしく、つと立上って、二三歩窓の方に身をかわした。彼女の頬は憤激の為に赤らみふくれていた。彼女ははしたなく叫声など立てないで、その代りに冷い軽蔑に唇をゆがめて見せた。
それにも拘らず、西村陽吉は、いつでも戯談にまぎらせる丈けの余裕を残して益々彼女に迫って来た。机にせばめられた通路の一方に男が立はだかっている為、窓の方へ逃げる外はなく、彼女はじりじりとその窓枠へおしつけられて行った。