후리가나로 읽는 일본 고전
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
山本 周五郎의 人情武士道(しぐれがさ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 24,700자 · 51화면
「放して下さい、坊が、坊が」女は烈しく身をもがいた。
「大丈夫ですから、貴女は此処にいらっしゃい」
こう云っているうちに、早くも至は子供を抱いて水面へ浮き上って来た。すると女は、夏女の手を振放して水際へ走せ下り、至が泳ぎ着くのを待ち兼ねて、まるで奪い取るように、両手で子供を自分の胸へ犇と抱き緊めた。
「水を吐かせなくてはいけません」至は痛ましげに眉をひそめた、「……たいして呑んでもいないようですが」
「こちらはわたしが手伝ってあげます、いいからあなたは早く着物を着ておいでなさい、風邪をひくといけませんよ」そう云って夏女は女の側へ寄っていった。
至は堤の西側へ下り、日溜りの暖かいところでからだを拭きはじめた。すぐに子供の堰を切ったような泣き声が聞えて来た。「……助かったな」小さな肺いっぱいの力で泣く子供の声を聞くと、至はさっきからの胸の閊えが、すっと消えるような清すがしさを感じた。……着物を着て、解いた髪の水をごしごし拭いていると、堤の向うでなにか母親と女の話しているのが聞えて来た。低く途切れ途切れになった子供の泣き声を縫って、ふたりの話し声はなにかしらん妙に耳へ刺さるようなものをもっていた。