후리가나로 읽는 일본 고전
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
宮本 百合子의 伸子(のぶこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 232,543자 · 466화면
なぜなら、佃はたださえ引こもりであった。伸子がこまごま彼のために小間使いをすると、佃は仕方ない時しか部屋を出ない――例えば三度の食事時とか、厠へ行く時とか、電話とか、父がかえった時とか――。
田舎へ立つ前、こういうことがあった。やはり、彼が部屋で茶を飲みたいと云った時であった。伸子は何心なく、
「じゃあ持って来て上げるわ」
と云って、食事部屋へ行った。母が女中と夕飯の支度の打ち合せをしていた。彼女は伸子を見ると、
「何だい」と尋ねた。
「お茶」
「――お湯があるかしら」
多計代は、手をのばして鉄瓶にさわった。
「ああ丁度いい塩梅だよ」
伸子が茶碗を揃える間に、彼女は自分で急須を調えた。
「おいしい蒸羊羹があるよ、あれでも切ろうかねえ」
ゆったり茶を注ぐ母の態度には、伸子と一緒に茶を飲むことを楽しむ様子がありあり見えた。伸子は三つ茶碗を並べたまま部屋へ佃を迎えに行った。
「いらっしゃいよ、母様がその積りなんで私困るわ」
しきりに進めたが、佃は到頭動かなかった。伸子は、已むを得ず戻って、母に嘘をついた。
「今一寸手がはなせないんですって。これだけいただいて行くわ……私はすぐ来るから待ってらして頂戴ね」