후리가나로 읽는 일본 고전
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
国枝 史郎의 八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 160,664자 · 323화면
ましてマリヤや基督に対しては頭を下げたことさえない。天帝の教えを信じたのは俺ではなくて夏彦であった。……島太夫お前は覚えていような。十四年前のある晩に俺と夏彦とは部下を従え三隻の軍船に打ち乗って湖水を分け天竜川を下り一人の女の愛を得ようと阿修羅のように戦ったことを! ああある時は二つの船は舷と舷とを触れ合わせて白刃と白刃で切り合った。またある時は二つの船は互いに遠く乗り放し矢合わせをして戦った。闇の夜には篝を焼き、星明りには呼子を吹き、月の晩には白浪を揚げ、天竜の流れ遠州の灘を血にまみれながら漂った。永い間の戦いに夏彦の部下も俺の部下も一人残らず死に絶えた。俺の弓矢は朽ちて折れ夏彦の弓矢も朽ちて折れた。しかも二人の怨みばかりは綿々として尽きぬのだ」
「その間中このお城にもいろいろの出来事がござりました」
老いたる家来島太夫は眼をしばたたきながら云うのであった。
「お城に止どまった武士達がお殿様方と夏彦様方と明瞭り二派に立ち別れ、切り合い攻め合い致しましたため次第次第に人は減り、やがて死に絶えてしまいました。その寂しさに堪えられず、お姫様の柵様は天帝の恩寵にお縋りして安心を得ようとなされました。