후리가나로 읽는 일본 고전
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
国枝 史郎의 八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 160,664자 · 323화면
茂みで鳥が啼いていた。野茨の赤い実が珠をつづり草の間では虫が鳴いていた。ひどく気持ちのよい日和であった。
と行手の峠道へポツリ人影が現われたが、長い芒の穂をわけて次第にこっちへ近寄って来た。見るとそれは黒法師であった。それと知った葉之助は思案せざるを得なかった。
「幻覚かな? 本物かな?」
その間もズンズン黒法師は彼の方へ近寄って来た。やがてまさに擦れ違おうとした。
その時例の声が聞こえて来た。
「永久安穏はあるまいぞよ」
ゾッと葉之助は悪寒を感じ、それと同時に心の中へ不安の念がムラムラと湧いた。
で、刀を引き抜いた。そうして袈裟掛けに斬り伏せた。
陽がカンカン当たっていた。その秋の陽に晒らされているのは若い女の死骸であった。
「うむ、やっぱり幻覚であったか」
憮然として葉之助は呟いたもののしかし後悔はしなかった。気が晴々しくなったからである。
三人目には飛脚を斬り四人目には老婆を斬り五人目には武士を斬った。しかも家中の武士であった。
高遠城下は沸き立った。恐怖時代が出現し、人々はすっかり胆を冷やした。
「いったい何者の所業であろう?」
誰も知ることが出来なかった。