일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はちじゅうはちや

八十八夜

太宰 治

太宰 治의 八十八夜(はちじゅうはちや)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,623자 · 28화면

아오조라 문고

諦めよ、わが心、獣の眠りを眠れかし。(C・B)

笠井一さんは、作家である。ひどく貧乏である。このごろ、ずいぶん努力して通俗小説を書いている。けれども、ちっとも、ゆたかにならない。くるしい。もがきあがいて、そのうちに、呆けてしまった。いまは、何も、わからない。いや、笠井さんの場合、何もわからないと、そう言ってしまっても、ウソなのである。ひとつ、わかっている。一寸さきは闇だということだけが、わかっている。あとは、もう、何もわからない。ふっと気がついたら、そのような五里霧中の、山なのか、野原なのか、街頭なのか、それさえ何もわからない、ただ身のまわりに不愉快な殺気だけがひしひしと感じられ、とにかく、これは進まなければならぬ。一寸さきだけは、わかっている。油断なく、そろっと進む、けれども何もわからない。負けずに、つっぱって、また一寸そろっと進む。何もわからない。恐怖を追い払い追い払い、無理に、荒んだ身振りで、また一寸、ここは、いったいどこだろう、なんの物音もない。そのような、無限に静寂な、真暗闇に、笠井さんは、いた。

進まなければならぬ。何もわかっていなくても絶えず、一寸でも、五分でも、身を動かし、進まなければならぬ。