후리가나로 읽는 일본 고전
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
宮本 百合子의 古き小画(ふるきミニエチュア)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,298자 · 140화면
捕虜に先手を打たれてしまった。もう、どんな自分の言葉も、切実な強さを持ち得ないのを彼は明かに知った。彼に遺されている一つの道は、優者らしい暴虐さで、云えない捕虜を攻め立てることばかりだ。そんなことは彼に出来ることでなかった。スーラーブは、腕組をし、脚を開いて立ち、石のように黙り込んだ。頭の上で、太陽は微かな音を立てながら、天の真中へ進んで来るようであった。陣地には、今にも、開戦準備の角笛が鳴り渡りそうであった。彼に遺されている時間は、ほんの一刻だ。その貴重な暫くが、自分の運命には些の恩沢も与えようとせず、冷然と、ついそこを通りすぎてしまうのか。スーラーブは、ふけた顔付きになり、逞しい若い胸の奥で身ぶるいをした。暗い眼で、しげしげと無標の天幕を瞰渡した。その間に、捕虜は、私かに彼を偸見た。男は、凡そ見当はついていたのに癪で真直云えなかったのである。なぐられないのが、男にとっては意外であった。そして、スーラーブの顔付を見たら、彼の感情は動いた。何かまるで淋しそうな色が、スーラーブの体全体に満ちていた。正面を向いたぎりで、男は、同情に似た静かな光を眼に泛べたが、スーラーブが、彼を見そうにすると、はっと彼の顔は変った。