후리가나로 읽는 일본 고전
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ぜんぞうをおもう
善蔵を思う
太宰 治의 善蔵を思う(ぜんぞうをおもう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 14,041자 · 29화면
帰途、吉祥寺駅から、どしゃ降りの中を人力車に乗って帰った。車夫は、よぼよぼの老爺である。老爺は、びしょ濡れになって、よたよた走り、ううむ、ううむと苦しげに呻くのである。私は、ただ叱った。
「なんだ、苦しくもないのに大袈裟に呻いて、根性が浅間しいぞ! もっと走れ!」私は悪魔の本性を暴露していた。
私は、その夜、やっとわかった。私は、出世する型では無いのである。諦めなければならぬ。衣錦還郷のあこがれを、此の際はっきり思い切らなければならぬ。人間到るところに青山、と気をゆったり持って落ちつかなければならぬ。私は一生、路傍の辻音楽師で終るのかも知れぬ。馬鹿な、頑迷のこの音楽を、聞きたい人だけは聞くがよい。芸術は、命令することが、できぬ。芸術は、権力を得ると同時に、死滅する。
あくる日、洋画を勉強している一友人が、三鷹の此の草舎に訪れて来て、私は、やがて前夜の大失態に就いて語り、私の覚悟のほども打ち明けた。この友人もまた、瀬戸内海の故郷の島から追放されているのである。
「故郷なんてものは、泣きぼくろみたいなものさ。気にかけていたら、きりが無い。手術したって痕が残る。